2018年10月1日月曜日

沖縄知事選の争点は辺野古移設にならなかった。世代間の投票行動の差から考える


2018年9月30日に沖縄知事選が行われ、前知事の後継者として立候補をしていた玉城デニー氏が初当選した。

沖縄県知事選 玉城デニー氏 初当選 | NHKニュース  




世代別の投票先の2つの着目点


詳しい分析はしていないし、沖縄の空気感なども分からないのですが、世代別の投票先を表した出口調査で気になる点が2点。

1:世代によって支持傾向が違っていること
グラフをみればお分かりの通り。このような傾向は2015年の大阪都構想に関する住民投票の際あたりからよく見られるようになっている。
今回は結果でみれば、上の世代がより望む結果になったと言える。
ちなみに、昨年の衆院選では、どちらかといえば、若い世代が望む結果となっている。
若い層は自民党。年齢が高くなるほど、野党に投票したという層が増えていきます。ただ、どの年齢層でも、比例投票先の第1位が自民党であることは変わりません。(2017年衆院選NHK特設サイトより)
少子高齢化・人口減少社会への変化にある日本。あるいは高度経済成長期やバブル期などの”繁栄”の時代を知らず、現状が当たり前となっている若者と、そうではない層の価値観や望みの違いが出てきている結果といえる。
10年ほど前であれば、政策が今の高齢者に片寄っており結果若者向けの政策への予算配分が少なくなる「シルバーデモクラシー」「世代間格差」が顕著にみられた。しかしながら、近年の国政選挙や今回の沖縄知事選においてはどの政党・候補者も若者向けの教育・子育て政策を強く掲げるようなっており、以前ほど「”現在の”世代間格差」が見られなくなっているともいえる。つまりは政策内容による世代間の投票先の違いは少なくなっているのではないかということである。

むしろ、「どの政策分野を主要政策として強く押し出すか」、または「色んな政策が細かく網羅されているか」に関しての情報の取り方の違い。あるいは「候補者・政党が設定するイシューとの価値観が近いか」といった、直観の違いが世代によって異なっており投票結果に反映されているのではないかと考えている。

(世代内での格差や、次世代への借金などをどう考えるかはしっかり議論すべきだと思うが)

2:若者層は投票先が割れ、高齢世代は差がついたのか。
もう一つ気になったのが、60代・70代の中で、かなり多くの方が玉城氏に投票をされたということ。投票者の中の3分の2以上の支持を得ている。
10代から30代では佐喜真氏支持の方が多いものの、大きな差がついているわけではない。
朝日新聞に記事によると以下のような投票先の判断基準があるそうだ。

「基地問題」が46%と「経済の活性化」の34%を上回った。「人柄や経歴」10%、「支援する政党や団体」4%と続いた。「基地問題」と答えた人の83%が玉城氏に投票、「経済の活性化」と答えた人の76%が佐喜真氏に投票(朝日新聞記事)
 世代別の違いが出ていないが、逆算して考えると多くの高齢世代が「基地問題」を重要だと考え、玉城氏に投票。そして、若者層は「基地問題」「経済の活性化」のどちらを重視するのか人によって違いがあったということだろう。おそらく「経済の活性化」を重視する層が多かったと推測される。

2005年の郵政改革選挙や2009年の政権交代選挙の際に「ワンイシュー選挙」という言葉が良く聞かれた。様々な政策があるなかで、あえて一つのことに有権者の関心を寄せ、反対か賛成かで投票先の決定を促していく戦略だ。

今回、高齢世代は「基地問題」ワンイシュー。つまりは多くの部分は「辺野古移設の是非」に関心が収斂されたのだろう。ちなみに、両候補とも基地返還を公約に掲げている。
そして、若者世代はそれぞれの中で重要視することが違った。

沖縄知事選の争点は辺野古移設にはならなかった