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2019年2月8日金曜日

沖縄県民投票。学校で模擬選挙のテーマとして活用してみては!?

2月24日に実施される沖縄県民投票。「辺野古への米軍基地建設のための埋め立て」の是非について投票が行われます。

日本全国から注目を浴びている住民投票。沖縄県での注目度や、議論は相当に大きいものがあるのではと思います。

そんな中、以下のニュースを先日見つけました。


記事内には
緊急連絡票と題した通知には「(県民投票の)投票結果が確定する前に生徒会主催の模擬投票の実施を計画する事案等が報告されている」と注意を呼び掛ける記述があり、生徒会の取り組みなどを再確認するよう依頼している。
 また通知の参考欄では、公職選挙法に「人気投票の公表禁止」の規定があることを挙げ、「学校で選挙期間中の模擬投票は有権者の投票行動に影響を与える懸念があるためふさわしくない」としている。
との記述があります。

この教育庁の通知は非常に残念です。県を2分するかもしれない住民投票において、学校や生徒が変な状況に巻き込まれることのないようにとの懸念の結果の通知かと思います。
しかし、せっかく生徒が自分の県のことを意識する大事な機会を逸するような通知は出さないでほしいです。
しかも、県知事の肝いりで進めてきた県民投票にたいして、同じ県の組織である教育庁が後ろ向きの通知をだすことは、方向性の不一致と見受けられます。(それが教育庁や教育委員会の独立性だとも言えますが)

そして、なにより問題なのは、まるで、模擬投票を実施することが公職選挙法により禁止をされているような書き方となっていることです。
公職選挙法においても、学校教育の規則においても、「実際の選挙を題材とした模擬選挙を実施することには何も問題ありません」
実際の開票よりも前に模擬選挙の結果を公開することや、政治的中立を担保しない形での授業の実施はたしかに禁じられています。
しかし、これらの禁止事項に触れない形での模擬選挙は文科省・総務省から奨励をされており、貴重な学びの機会として学校現場で進められてきています。

私は、これらのルール作りに2015年にかかわりました。
2016年の18歳選挙権導入に当たって、文科省・総務省が「主権者教育に関する副教材」を作成し全高校生に配布をされてきています。そして、この副教材の執筆メンバーとして私も議論や作成にかかわりました。

冊子の内容を少し載せておきます。
生徒向けの副教材より


さらに、今回のような”住民投票”に関しても、先生向けの副教材の中で以下のようなQ&A項目を作りました。

”政治的に対立する見解がある現実の課題の中で,住民投票が行われることとなっている問題について,授業で事前に投票させることは指導方法として考えられることです。”
上記の記述が、文科省・総務省の正式見解です。
 「住民投票を題材にした模擬投票やっていいよ!!」ということです。
もちろん、地域に密着したテーマであるからこそ、配慮は必要であるとのことも言及しています。

冒頭にも書いたように、今回、沖縄県の教育庁は、混乱や生徒への悪影響を避けるために、模擬投票の実施に関して後ろ向きと捉えられる文章を出したのだと思われます。
しかし、言葉足らずな内容により、そもそも模擬投票の実施自体が禁止だと認識してしまう学校も出てくる書き方となっていた部分は納得いきません。
また、むしろ学校や生徒に悪影響が起こらないような模擬選挙のプログラム作りなどを進めるなどを考えてみてもよかったのではないかと思います。

繰り返しになりますが、実際の選挙をテーマにした模擬選挙は行えます!そして、これからの社会を作る中高生が、県の今後を考える機会を作ることは主権者教育において重要です。



いろんな方の声を聞きながら進んでいきます。
引き続き頑張ります!
#新しい時代に新しい政治を
#ハラケン選挙





色々な活動をしていく中で、気になったことをこちらのブログでは更新していきます。
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2018年10月1日月曜日

沖縄知事選の争点は辺野古移設にならなかった。世代間の投票行動の差から考える


2018年9月30日に沖縄知事選が行われ、前知事の後継者として立候補をしていた玉城デニー氏が初当選した。

沖縄県知事選 玉城デニー氏 初当選 | NHKニュース  




世代別の投票先の2つの着目点


詳しい分析はしていないし、沖縄の空気感なども分からないのですが、世代別の投票先を表した出口調査で気になる点が2点。

1:世代によって支持傾向が違っていること
グラフをみればお分かりの通り。このような傾向は2015年の大阪都構想に関する住民投票の際あたりからよく見られるようになっている。
今回は結果でみれば、上の世代がより望む結果になったと言える。
ちなみに、昨年の衆院選では、どちらかといえば、若い世代が望む結果となっている。
若い層は自民党。年齢が高くなるほど、野党に投票したという層が増えていきます。ただ、どの年齢層でも、比例投票先の第1位が自民党であることは変わりません。(2017年衆院選NHK特設サイトより)
少子高齢化・人口減少社会への変化にある日本。あるいは高度経済成長期やバブル期などの”繁栄”の時代を知らず、現状が当たり前となっている若者と、そうではない層の価値観や望みの違いが出てきている結果といえる。
10年ほど前であれば、政策が今の高齢者に片寄っており結果若者向けの政策への予算配分が少なくなる「シルバーデモクラシー」「世代間格差」が顕著にみられた。しかしながら、近年の国政選挙や今回の沖縄知事選においてはどの政党・候補者も若者向けの教育・子育て政策を強く掲げるようなっており、以前ほど「”現在の”世代間格差」が見られなくなっているともいえる。つまりは政策内容による世代間の投票先の違いは少なくなっているのではないかということである。

むしろ、「どの政策分野を主要政策として強く押し出すか」、または「色んな政策が細かく網羅されているか」に関しての情報の取り方の違い。あるいは「候補者・政党が設定するイシューとの価値観が近いか」といった、直観の違いが世代によって異なっており投票結果に反映されているのではないかと考えている。

(世代内での格差や、次世代への借金などをどう考えるかはしっかり議論すべきだと思うが)

2:若者層は投票先が割れ、高齢世代は差がついたのか。
もう一つ気になったのが、60代・70代の中で、かなり多くの方が玉城氏に投票をされたということ。投票者の中の3分の2以上の支持を得ている。
10代から30代では佐喜真氏支持の方が多いものの、大きな差がついているわけではない。
朝日新聞に記事によると以下のような投票先の判断基準があるそうだ。

「基地問題」が46%と「経済の活性化」の34%を上回った。「人柄や経歴」10%、「支援する政党や団体」4%と続いた。「基地問題」と答えた人の83%が玉城氏に投票、「経済の活性化」と答えた人の76%が佐喜真氏に投票(朝日新聞記事)
 世代別の違いが出ていないが、逆算して考えると多くの高齢世代が「基地問題」を重要だと考え、玉城氏に投票。そして、若者層は「基地問題」「経済の活性化」のどちらを重視するのか人によって違いがあったということだろう。おそらく「経済の活性化」を重視する層が多かったと推測される。

2005年の郵政改革選挙や2009年の政権交代選挙の際に「ワンイシュー選挙」という言葉が良く聞かれた。様々な政策があるなかで、あえて一つのことに有権者の関心を寄せ、反対か賛成かで投票先の決定を促していく戦略だ。

今回、高齢世代は「基地問題」ワンイシュー。つまりは多くの部分は「辺野古移設の是非」に関心が収斂されたのだろう。ちなみに、両候補とも基地返還を公約に掲げている。
そして、若者世代はそれぞれの中で重要視することが違った。

沖縄知事選の争点は辺野古移設にはならなかった

2018年3月16日金曜日

若者の政治参画について自由民主党本部で話してきた

今朝は自由民主党の選挙制度調査会の部会にて。
被選挙権年齢の引き下げを中心に話をさせてもらい、多くの意見質問をいただきました。



選挙権年齢引き下げの次に被選挙権年齢の引き下げも行うべきだし、それは若者ためであり、若者ともに次の世代を作っていくために。

そして、投票、立候補以外の政治参画も増やしていく必要がある。

そんな話をしてきました。

スライドの一部を公開。


そのほかにも、
・選挙権被選挙権年齢ともに、義務教育終了後にするという議論を考えてみるのはどうか?

・主権者教育については、自分が代表であるNPO法人YouthCreateでも多くの中高にて、主権者教育出前授業をしているし、外部団体が、関わることは必要。

・同時に本来、学校教育の中での主権者教育は、先生.学校主導で行うのが望ましい。先生が実施できるようにプログラムの提供などを引き続き進めていきたい。

なんて話もさせていただきました。
質問や意見も多くいただき、予定の1時間を超えて議論が続きました。

もうめっきり、最近は国会や永田町にいくこともなくなってたんだけど、たまにこうやって国会議員に考えを伝え、そして国会議員の関心や反応や価値観を知ることも大事だなと。

引き続き頑張ります!


若者と政治をつなぐ NPO法人YouthCreate
原田謙介

2018年3月2日金曜日

国政選挙なのに地元が違うだけで投票できない人が3400人いる状況をなんとかしないと

昨年の衆議院選挙に関してNHKが以下のニュースを報じた


「居住実態無い」3400人余り投票できず 去年の衆院選

進学や就職などで住民票を移さずにほかの自治体に引っ越したため、住民票のある自治体から居住実態が無いとされて投票できなかった人が、全国で3400人余りいた
ということ。ここに「なんとかしないと」とは思っていない。
過去の、というか昭和29年の最高裁判決をもとに、各自治体は選挙権を得た年齢の際に住民票のある場所での居住実態を調べることになった。
要は、住民票は”地元”においたままで”大学のそば”などですんでいないよね?という調査をするということ。
が、実際は行われていないところが多いようだ。
そもそもすごい大変だし、居住実態ってどうやってはかるのかという難しさもある。

では、何に自分は「なんとかしないと」と思っているかというと、
国政選挙にもかかわらず、どの自治体が地元だったかによって、投票の機会の生殺与奪が決まっているということ。

明るい選挙推進協会が2015年6月に行った調査によると、63.3%の一人暮らしの大学生は住民票を移していないという現状があり、
国会の議論の中でもこの問題が取り上げられている。

にも関わらず。また政治の怠慢により、
投票意図があるにもかかわらず、投票をできなかった人が3400人も出た
ということを国会議員のみなさんには、意識してもらいたいです。

居住実態を調べて、投票を断った自治体が悪いなんてことは全くなく、問題をあいまいなままに放置している国政にこそ問題がある。

参照

18歳と19歳で投票率が約20%も異なる最大の理由は政治の怠慢である(原田謙介) - Y!ニュース 

18歳以上なのに投票ができない? ~下宿中で住民票を移動していない学生有権者は選管に確認しよう!~(伊藤伸) - Y!ニュース 

2018年1月8日月曜日

18歳選挙権時代の成人の日の思うこと

ちらっとスーパーJチャンネルにてインタビューを放送いただきました。


何かへの怒りや不満ではなく、ワクワクや楽しさみたいなのが原動力になっている世代のかなと感じてます。
色んな形での情報収集ができるので、ワクワクをドンドン探して、つまらないものは不満に思うものは逆に見なくなっている。

若者政治をつなぐ活動をしている自分からすると、政治参画が彼らにとって、ワクワクに入るのかつまらないものに入るのか。

ちなみに、この世代は2016年参院選の時に全員が10代有権者(18歳・19歳)だったので、実は18歳選挙権初投票の世代でもあります。

すでに、投票という1つの区切りを超えている彼らが成人の日に何を思っているんでしょうかね。

ちなみに、自分はサークルの試合があったので東京にいて、地元岡山での成人式には出ませんでした。
その年の正月に小学校の頃の同窓会があったから、特に成人式に出る動機もなかったので。

年中夢求で頑張ります




【参加者募集中】新企画!Social Design in Politics!

「若者」と「政治家」の最適なコミュニケーションを学びつくりだそう《3回連続講座》
2018年1月26日(金) 19:30~21:30
第1回:投票率80%の国、スウェーデンから学ぶ「対話の場」の重要性
2月27日(火) 19:30~21:30
第2回:電通・若者研究部が考える多様化する若者と社会を作るコミュニケーション
3月16日(金) 19:30~21:30
第3回:「若者と政治をつなぐ」活動を通して作ってきた「若者」と「政治家」の新しい関係性

2018年1月5日金曜日

主権者教育は政治・選挙の事を教えることではなく、自分自身の生活を見ることである

<主権者教育の広まり>

選挙権年齢が18歳以上に引き下がり、高校現場を中心とした学校現場にて、模擬選挙や議論などを通じて政治や選挙の事を扱う授業が一気に行われてきた。
学生運動時代の悪しきなごりで学校で政治についてほとんど扱われていなかった状況が2015年まで続いていた。それがやっと変わり、
今後は、高等学校等の生徒が、国家・社会の形成に主体的に参画していくことがより一層期待される。
との通達が文部科学省から出された。
これを受け一気に主権者授業が進んできたわけである。

<主権者教育の定義>

”主権者教育”の定義について文部科学省・総務省は以下のように書いている。
文部科学省の「主権者教育の推進に関する検討チーム」最終まとめ~では、冒頭に
主権者教育の目的を、単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を身に付けさせることとした。
とまとめている。

自分もメンバーの一人として関わった総務省の主権者教育の推進に関する有識者会議では、
社会の出来事を自ら考え、判断し、主体的に行動する主権者を育てること
とした。

2017年12月26日火曜日

NHKニュースウォッチ9に取り上げられました。若者が現状に満足したらいけないんでしょうか?

【NHKに取り上げられました。若者はどんな理由でどこに投票したのか?】

NHKニュースウォッチ9にて、自分が実施した大学生へのヒアリングの様子を12月22日に放送いただきました。
大学生約10人に集まってもらい、10月の衆院選においてどんな理由で、どの党に投票したかを聞いた場の様子です。
集まった学生は与党に投票した人と、野党に投票した人が約半々。いろんな話が聞けました。話の内容に関しての詳細をオープンにはするつもりは現時点ではありません。



しかし、色んな考えや悩みの元に投票をしていることが改めて分かりました。
与党側に投票した人でも、投票の際に重視したことは安全保障・経済・教育など様々でした。そして、民進党を指示していたけども衆議院選挙の際には民進党へ投票できなくなり、希望の党・立憲民主党ではなく自民党へ投票をした人がいたり。
また、野党に投票した人も同様に色々な考えでした。

そしてNHK内での放送内容やそこからの反響について思うことが色々とあったので、まとめて見ます。
注意していただきたいのは、この記事は各政党の政策や政治姿勢などへの賛否を論じるようなものでは全くないということです。


【では、NHKのニュースではどんな放送になっていたのか】

若者が“保守化”? “2人に1人が自民”というのがこの特集のタイトル。
内容がNHKのHPに上がっていましたので、まだご覧になっていない方はまずは以下のリンクを見てみてください。


若者が“保守化”? “2人に1人が自民”|特集ダイジェスト|NHK ニュースウオッチ9 



”若い世代の2人に1人が自民党に投票した形なんです。”との言葉と合わせて、NHKの選挙の際の調査が紹介されます。

次にヒアリングの様子が紹介され、各参加者の意見が紹介されます。
そして、東京大学橋元良明教授の調査の紹介。
「現在の生活に満足している」18~29歳の割合は約35%と他の世代より10ポイント前後高い一方で、「現在の国内政治に満足している」と答えた18歳~29歳は10%程度で他の世代との差はほとんどないことを紹介。
若い世代が、政治への「不満」よりも「安定」を優先した結果、自民党への圧倒的な投票につながった
と見解を述べられています。

2017年11月8日水曜日

18歳と19歳で投票率が約20%も異なる最大の理由は政治の怠慢である

1歳違うだけど、投票率が20ポイント近く変わる状況


総務省が22日の衆議院選挙の10代の投票率(抽出調査)を発表した。


総務省は24日、今回の衆院選で初めて選挙権を得た18歳と19歳について、抽出調査による投票率(小選挙区、速報値)を発表した。18歳は50.74%、19歳は32.34%で、18歳と19歳を合わせると41.51%。いずれも全体の投票率(53.68%)を下回った。18歳選挙権が導入された昨年7月の参院選と同様、18歳より19歳の投票率が目立って低い。 毎日新聞記事より
全体の投票率を下回ったという点に着目する方もいるだろうが、むしろ着目すべき点は
18歳と19歳の投票率の違いである。


1歳変わるだけで、投票率が20ポイント近く変わるという状況は普通ではない。


実は同様に18歳よりも19歳の方が投票率が低い現状は昨年の参議院選挙でも見られているが、その時は10ポイント以下の差である。


住民票を移している一人暮らしの18・19歳はわずか3割


ここまで大きく投票率の差が出る原因は間違いなく住民票の状況による。
ご存知のとおり、投票は住民票のある自治体で行うこととなっている。
しかしながら、実家を出て、親と暮らしていない18歳・19歳のうち、住民票を現居住地に移している割合は3割を下回る。


総務省:18歳選挙権に関する意識調査の概要より

住民票を移していないこと自体はもちろん法的に問題なのだが、現状をみれば移していない割合の方が多く、法が現状についていっていない状況がある。

みなさんも、大学生時代に一人暮らしをしていたが住民票を移していなかったり、そんな知り合いを知っていませんか。

投票率の際の問題は、このような住民票を移していない一人暮らしの人がどうやって投票を行うことができるかである。

方法は2つ
1:住民票のある自治体(実家)に戻り投票を行う。
2:不在者投票制度を利用する。

1に関しては、現居住地と実家の距離により投票の困難さは変わる。そして、2に関しては、郵送でやり取りを行う必要があるので、すくなくとも数日かかり利便性がぐっと下がる。

つまりは18歳の高校生で実家ですんでいる人に比べて、19歳の大学生で親元を離れて一人暮らしをしているが住民票を移していない人の方が、投票するためのコストはかなり上がる。
そして、その結果、投票行動への意欲は変らなかったとしても投票率はぐっと下がるのだ。

18歳と19歳の投票率の差が拡大した理由は選挙の時期


18歳と19歳の投票率の差が広がった。昨年の参議院選挙では10ポイント以下だったが今回の衆議院選挙では約20ポイントとなっている。

2017年10月19日木曜日

各政党:少子高齢化時代の若者参画公約比較

課題は、若者の声が議論の場に乗らないこと。若者が参画による社会の変革に否定的なこと。


衆議院の解散にあたって安倍首相は

この解散は「国難突破解散」であります。急速に進む少子高齢化を克服し、わが国の未来を拓く。
と述べました。

予算配分や政策の変化の必要性はもちろんある。
さらに、若者と政治をつなぐ活動を行っている自分の視点からみると、少子高齢化による課題は、若者の声が議論の場に乗らないこと。若者が参画による社会の変革に否定的なこと。



平成25年度の内閣府の調査によると
「私の参加に変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」という問いに対して、肯定的に答える日本人は約3割とほかの国に比べてかなり低い。
(調査対象は13歳~29歳)



 全国多くの場で10代や20代と政治や選挙について話すが、
「どうせ、多数決で負けるから」
「わずか2歳選挙権年齢が広がったところで」
といった、少子高齢化を原因とする、政治的有効感覚の低さから来る話をよく聞く。

政治参画に関する各党政策を見てみる。

「選挙よくわからんけど気にはなる」って人が、みんなで知り話し悩める場づくり

もうタイトルの通りの場が大事だと思っている。


「信念として投票なんていかない」って決めている人を、選挙機関などのわずか数週間で気持ちを変えてもらうことはできないと思うし、その必要性もないと思っている。
そして、「投票行く時間無駄」「投票よりも遊ぶこと」って思っている人には、どんなイベントを打とうが出会うことは難しい。こういう人とは学校への出前授業で出会って、強制的な授業での体験から気持ちの変容への可能性を探る。
(※イベントでも「広瀬すずさんと会えるよ」っていう感じの、大きな別のインセンティブが働く場合をのぞく)

また、「私は、〇〇党応援のために頑張ります」って人はもちろんその活動を頑張ってもらえればと思う。

NPO法人YouthCreate代表として僕が作りたいのは、ずばり。
「選挙よくわからんけど気にはなる」って人が、みんなで知り話し悩める場づくり。

それは「投票率を上げる」ことが目的ではなくて、
「選挙をきっかけに自分の将来や政治や社会のことを考えることが楽しいから」

「投票行った方がいいと思うけど、政策とか政党とかよくわからん」
「調べたほうがいいと思うけど、時間取るのめんどくさくて」
「どういう見方がで考えたらいいのかわからない」
そんな思いを持ってるけど、自分の心の中だけでとどめている人が多いのかなと。

でも、選挙のことが気になるんなら、せっかくなら、みんなで話したほうが楽しいと思っている。
そして、話したほうが社会としても良い社会になると思っている。
民主主義の強みは、僕ら市民が多様な意見や考えや疑問をどんどん口に出せること。
口に出して、違いを知ったり学びあったり、議論しあったりして考えを深めていくこと。
でも、「政治や選挙の話ってやりにくいよね」という世の中の雰囲気が日本にはあるのも事実。


YouthCreateとして何回か微力ながら場づくりを行ってきました。


 子育て世代の方と一緒に、20年後を感がてみたり。


2017年10月10日火曜日

選挙に関するプログラムの無償公開を決めた3つの理由。ぜひ利用を!

【プログラムやワークシートを無償公開しています】

衆議院選挙は10日が公示日。選挙戦がスタートする。

自分は、解散が決まったときから「コミュニケーション」を大事にする選挙にしたいと思ってきた。衆議院の解散に、各政党の変遷などにより選挙や政治へ意識をむける人は多いだろうが、一瞬で終わりとなる人も多いのだと思う。
そうならないためにも、選挙のことを友達やクラスや家族で話をできる状況を作りたい。

詳細な思いに関してはこちら→
年中夢求 ハラケンのブログ: コミュニケーションする選挙にしたい

コミュニケーションのきっかけとするためにプログラムやワークシートを無償公開中。
自分が代表を務めるNPO法人YouthCreateのものだけではなく、現役の高校の先生主権者教育を実践している他の団体にも協力をお願いし、快諾をいただいている。

ワークシートのダウンロードはこちらから

【プログラムの公開を行う理由①:学校の先生に届いてほしい】

18歳選挙権への変化を契機とし、高校を中心とする学校での主権者教育(政治や選挙に関する教育)ががらりと変わった。端的に言えば「積極的にやりましょう」という方向になった。
2015年度には9割以上の高校で主権者教育が実施されたとの調査もある(文部科学省)
しかし、その中身を見ると、仕組みを教える段階で止まっているものも多い。
2016年度・2017年度と少しずつ、現実の政治に関する授業が増えてきているようではあるが、まだまだ「仕組み」を習って終わりになっている。
しかし、学校の先生がたも新たな授業をやりたがっている方も多いことも知っています。
でも、授業研究の時間がなかったり、身の回りの先生からヒントをもらえなかったりで結局できていないこともあります。
そんな先生方になんらかの役に立つものとなっていればと思います。
ドンドン参考にしていただければ幸いです。


【プログラムの公開を行う理由②:身近な人と話すきっかけづくり】

NPO法人YouthCreateではこの2年間で延べ80校の学校で出前授業を行わせていただき、15000人の学生が政治や自分の街や選挙について考える機会を作ってきた。
授業の冒頭は「え~、政治の話か。。。難しそうだし関係ないや。」といったような反応を表す生徒もいる。しかし、授業の導入から進行やグループワークなどを行っていくにつれて、生徒はドンドンのってくる。政治に関する話をしてみることを楽しんでくれる。

また、これは大人や家族でも一緒だと思う。普段同僚・友達や家族と政治の話をする人はあまりいないかもしれない。社会人向けのワークショップもやっているが、話すと楽しいし学びもある事を実感してくれる。

もちろん、楽しいだけではなく、難しかったりモヤモヤしたり、場合によれば考えの違いにびっくりすることもある。
それでも、一人で悶々と新聞を読みニュースを検索するよりは、絶対に楽しい。政治関係の講演やイベントで学ぶのも悪くないけど、日常ではない。
日常の中で、身近な人と政治を話しだしてほしい。
公開したプログラムを進めながら、話をするきっかけとしてもらえればと思っています!!

【プログラムの無償公開を行う理由③:だって社会に必要だと思っているから】

2017年9月26日火曜日

岡山大学:教育と民主主義受講生募集!

昨年度から岡山大学の非常勤講師をさせてもらっています。
月2回という変則な授業。
10人前後の多様な学部・学年の学生のみなさんと、岩淵先生と楽しんでやっています!

3ターム目のテーマは「教育と民主主義」
政治や市民参加に関心のある人だけではなく、教育関係の皆さんにもぜひお越しあれ!!
(単位いらないけど関心あるって方のもぐりももちろんOK!)
また、他大学の方も大学コンソーシアムでの授業なので、単位がつくはず。
講義名は 実践デモクラティックラーニング
講義番号は 912064
月曜日 1620~1830 (月2回)

せっかくのタイミングなので、授業内では総選挙にあたっての教育などに関しても話す予定です。

また、これまでの授業内容の一部を記事にしていますので参照ください。
実践デモクラティックラーニング(1) 街を起点とし、民主主義を考え実践する岡山大学での授業|原田謙介|日経カレッジカフェ | 大学生のためのキャリア支援メディア




2017年8月23日水曜日

総務省より「主権者教育アドバイザー」に任命いただきました

【全国の首長、自治体職員の皆さんへ】
総務省より「主権者教育アドバイザー」という肩書!?をいただきました。
今年度よりの新設の役割りです。


各自治体が行う主権者を育てる施策について一緒に策定・実施を行っていきます。
単発だけでなく計画づくりや部署を超えた連係なんかまで踏み込めるものかと思っています。

「選挙管理委員会が単発で啓発企画を行う。」
とか
「とりあえず出前授業を1回やってみる。」
を超えた重層的な取り組みを作っていければと思います。

関心ある方は総務省に問い合わせてみてください!!
費用は総務省が持ってくれるようですw

色んな自治体とご一緒できれば幸いです。

2017年7月25日火曜日

多くの担い手と実践した、高島高校での主権者教育出前授業

今年も 大畑先生の高島高校でお世話になっています。

授業内容についてはこちらより

7月には2年生向けの2回分の授業を調整いただき楽しい時間を作り出せました!
初回ではない学校なので、こちらのプログラムも新しいものをチャレンジする機会を一緒に作り出せて、がっつりメンバーと悩みながら作りました。








そして、写真の通りの多くの外部の学生や社会人に手伝っていただき実施!研修に本番にと時間を割いていただき、高校生と一体になり学びと気づきの空間を作ってもらいました。



大畑先生の教え子の高島高校の卒業生の方々や昨年度の駒場高校で手伝ってくれた方々にもお越しいただきました!(本当に薄謝ですいません。。)



もっとこんな場を作りたいよね。
外部の人間がお邪魔して、生徒が受け身で授業を受けるだけの授業でなく。
・先生と一緒に授業プログラムを考えていきながら、
・生徒の皆さんにも色々と悩み発言してもらいながら、
・生徒の現在の生活と政治をつなげながら
・多くのYouthCreate外の人にも”担い手”として若者と政治をつないでもらって。


YouthCreateとしては基本的には
学校での主権者教育は「先生主導で」という立場。
でも、「先生主導」のもと、YouthCreateが関わらせてもらうことはもちろんうれしい。
もっとこんな場を全国に広げていきたいもんです。

2017年6月25日日曜日

投票先を選ぶための時間は選挙のベテランと18歳のどちらが長いのか

【「投票は簡単だ」とは絶対に言えない】

大学時代を含め、かれこれ9年ほど「若者と政治をつなぐ」をテーマに活動を続けています。そして、18歳選挙権となったこの1年半ほどは多くの中高での授業も行っています。
良く「投票って難しいんですか?」と聞かれる。
自分は、「決して簡単ではない」と答える事にしている。
でも、「投票先の選択に間違いはない。今のあなた自身なりに社会を考え、候補者の政策を見比べた結果の投票先選択は絶対に正しい。選択するまでにどれぐらい時間をかけるかは人それぞれだと思うが、決して簡単ではない」
そんな伝え方をしている。(実際は、話し言葉でもう少し柔らかく伝えるが)

そうだからこそ、選挙以外の時にも社会や街や政治家に関心を少しもって、選挙の際の投票先決定の判断の助けとする必要があると思っている。


実際に18歳で初めての選挙に行った方の話を聞いてみると、やはり結構悩んでいる。
各政党・候補者の政策を読み比べたり、比較サイトを見て見たり、各候補者のホームページを見比べたりと。


もちろん、投票に行く人全員が時間をじっくりかけているわけではないだろうが、多かれ少なかれ悩んでいるんだと思う。

そのあたりのことは過去に以下の記事にもう少し丁寧にまとめているのでよろしければ。
高校への出前授業で絶対につかわない2つの言葉。「投票はすぐできる」「一票で社会が変わる」

【高校生は授業で政策を読み比べだしている。では大人は?】

18歳選挙権になる前でも20歳になり始めて選挙に行く際には、投票先を決めるために色々と悩んだ経験があるという人もいると思う。この点で言えば、投票先の決定の際に悩むということはいつの時代も変わらないのかなと思う。
しかし、18歳選挙権時代に突入し、教育が変化した。
元々教育基本法の14条には
第十四条  
良識ある公民として必要な政治的教養は,教育上尊重されなければならない。
と書かれているのだが、政治や選挙に関する具体的な教育はほとんどなされていなかった。

理由としては2点
1つは前述の14条の2項の以下の文
2 :法律に定める学校は,特定の政党を支持し,又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
そして、もう1つは「高等学校における政治的教養と政治的活動について伝えている文部省通知」。内容については長いので記述はしないが、政治教育の指導にあたって、現場の先生が後ろ向きになるような文言となっていた。

しかしながら、選挙権年齢の引き下げを受けた2015年秋に、昭和44年通達が取り下げられ、文部科学省が新たな通達を出した。(高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について
その通達の一部を抜粋すると
今後は、高等学校等の生徒が、国家・社会の形成に主体的に参画していくことがより一層期待される。
自らの判断で権利を行使することができるよう、具体的かつ実践的な指導を行うことが重要
といった、文章が並びそれまでの方針が180度変わったと言っても過言ではないと思っている。

2017年5月19日金曜日

経産省の若手の提言のすごさと焦り。”シルバーデモクラシー”ならぬ”現世代デ モクラシー”でいいのか。

昨日ぐらいから俺のFacebookのタイムラインで話題になっている計65ページのパワポ資料




説明によると経産省の20代・30代の若手職員の有志が昨年より議論検討を進めてきたものをまとめた資料だそうだ。
細部に関してはぜひ資料を見ていただければと思うが、少子高齢化・社会と個人の価値観の変化・技術の進歩・地方と国の関係などの社会状況を的確に捉え多面的に現状を分析。






そして、日本が今後取るべきスタンスについて大胆に提言している。



個別政策についての細かいものについての具体例が上がっているわけではないが、この資料を見て何らかの刺激を受ける人が大いにいるのではないだろうか。

政治の現世代デモクラシーへの違和感

なぜ、官僚ではなく政治家がこのようなことを言えないものか。
なぜ、政治家がそのようことを言ってみようと思えるような社会にないものか。
「そのようなこと」というのは、「若者関連政策に予算をつける・増やす」ということではない。
「政策と予算の抜本的な改革」ということだ。
昨年の参院選において、多くの政党が教育や子育てなどに関しての政策を大きく掲げた。
そのことに関しては嬉しいとは思いつつも、結局総予算額が増えるだけ。
現状の仕組みの抜本改革や高齢世代向けの予算の効率化・削減などを行わずに、増収(新たな税収・保険料収入か国債の発行)のみを原資とした政策に喜ぶだけでよいのだろうか!?
高齢世代の声が大きくなり、政策が偏る”シルバーデモクラシー”という単語がある。
今の日本において大きな問題だと言われている。
でも、若者政策が増えて、まだ生まれていない世代につけを回すだけの”現世代デモクラシー”になるだけでいいのか。
さらにいえば、”現世代の声の大きい人デモクラシー”でいいのか。

若者と政治をつなぐ活動をはじめてかれこれ10年近い。
少子高齢化に伴う世代間格差に危機感を覚え、若者世代の声がもっと政治の議論の場に載る必要を感じて始めた活動。
そして政治と若者が、互いに食わず嫌い状況になっていること。つまりは接点を持っていないのに、互いを敬遠してしまっていることにもったいなさを感じて始めた活動。

2013年にインターネット選挙運動が(やっと)解禁され、18歳選挙権に伴い主権者教育が(玉石混交だが少しずつ)始まってきた。
若者と政治の関係が変化していないとは思わない。
しかし、待ったなしの少子高齢化による困難さへの対応に関しての政治側からの、根本策の提示はまだなのかなと思う。

個人や企業や地域社会の自主性や強みが活きることを前提に、
どのように次世代に向けて持続可能な社会を作っていくのか引き続き考えていきたいと思う。
そして自分の立場としては、一人でも多くの人が考えるようなきっかけを作っていきたい。

※改めて経産省の方々の資料はこちらから


2017年5月6日土曜日

もっと学校に政治家がくればいいのに。私立高校で複数の政治家を招いた授業を行いました

都内の私立高校での授業のお手伝いを少しさせていただきました。

選択制の授業の中で、1年間をかけて都心部と多摩地域の違いなどについて生徒が考えていく授業。
その流れの中で、両地域の政治家を授業に招き、問題意識や街の捉え方について直接聞いてみたいとのこと。

23区内の区議会議員さんと、多摩地域の市議会議員さんをお招きしました。








冒頭に10分ずつぐらい、両議員さんから街の状況や課題などについて話していただき、その後は自分がファシリテートに入りつつ生徒との意見交換
新宿議会議員
あきる野市議会議員




予算規模や収入項目の割合のちがい
意外と都心部でも超高齢化の地域もある事
交通の便での都心部の利点
自然や家賃の面などでの多摩地域の良さ
1つの自治体だけでなく近隣自治体とともに広域で事業を行っていること
AIやオープンデータの可能性
行政への「お願い」だけにならない市民
などなど
色んな論点、議論が出て自分も勉強になりました。

もっと政治家が学校に入りやすくなればいいのにと思います。
・「政治」って堅い難しそうなものを「政治家」っていう人を入口に考えること
・政治家が学生の視点や意見などをしること
などの利点があると思っています。

とはいえ、
・政治的中立の面
・政治家へのコネクションがない学校の先生
・政治家の話を一方通行で聞くだけでは実りが薄いこと
などなどの難しさがあるのも現状。

自治体によっては、教育委員会や議会事務局が主導で積極的に政治家が学校に出向く取組を行っているところもあります。

YouthCreateでも政治家と学校現場・生徒をつなぐ授業を今後も多く作っていければと思っています。

開拓者より探検家として、引き続き若者と政治をつないでいきます。

2017年4月21日金曜日

神奈川県市選挙管理委員会連合会研修にて登壇してきました

2017年4月21日神奈川県市選挙管理委員会連合会研修にての講演おわり。


あまり知られていないかもしれないが、選挙管理委員会も教育委員会と同様に、少し独立した存在としてある。
選挙管理委員会事務局という行政職員が実務を担いつつ、選挙管理委員会という外部のものによる委員会もある。

首長のトップダウン的に啓発や投票環境の改善が行われることもあるが、
選挙管理委員会・選挙管理委員会事務局の強い思いによって、様々な施策が進められることもある。
YouthCreateも多くの自治体と関わっているが、この両方がある。

理想としては現場の事務局の方々が気持ちよく試行錯誤やトライをできる後押しに選挙管理委員が行うことかなと。

色々と話をしたのですが、ちょっとだけスライドを共有しておきます。







選挙管理委員の方には元議員の方も多く、伝え方をいつもと少し変えて話をしてみました。
また、自分も有識者の一員として関わった、総務省による主権者教育の推進に関する有識者会議まとめの内容も少し紹介しながら。

元議員の充て職になってるじゃないか的なことへの疑問もありますが、とりあえず一つずつ目の前のことをこなす。政治選挙の経験者だからわかることもあるはずなので、彼らが常時啓発や若者の参画の必要性を感じてもらえるようになれば。

開拓者より探険家として頑張ります!
ハラケン

2017年3月14日火曜日

地元の街によって一人暮らし学生は投票できず、ほとんど地元にいない国会議員は投票できる制度を見直す必要

<16年参院選>不在者投票、学生1773人できず
との調査を毎日新聞が公開している。
記事の冒頭にはこのように書いている
選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた昨夏の参院選で、進学先に転居後も住民票を移さずにいた72市町村の学生と生徒計1773人が不在者投票を認められなかったことが毎日新聞の調査で分かった。総務省は「住民票を移して転居先で投票するのが原則」との立場だが、「居住実態の確認は不可能」として容認する自治体の方が多い。
出典:毎日新聞の記事より
つまりは本来、転居の際に14日以内に住民票を移さなければならないと住民基本台帳法により定められていないにもかかわらず、親元を離れて生活を始めたのちも住民票を移さずいた。そのままの状態で”不在者投票制度”を使い投票に行こうとしたところ、住民票のある地元自治体から居住実態がないことを理由に不在者投票制度の履行を断られたということだ。
このような人が当該の選挙ではどこでも投票することができず、選挙権を失ってしまう。

本件に関しては以前より自分も記事を書いている
当然の前提として法にのっとって対応をすると居住実態がないので投票を断るということは全く問題ない。
しかし問題は”法”があって”人”がいるのではなく、”人”の生活のために”法”があるという前提がこの件に関しては破綻しているのではないかということである。

総務省が昨年12月に公開した調査によると18歳~20歳のうち親と一緒に住んでいないにもかかわらず、住民票を移していない人は6割近いということである。
この背景をもとに大きく2点から検証してみる。

1:法に定められているにもかかわらず各自治体の対応の差を総務省が容認していること

地元に居住していない人の不在者投票を認めなかった自治体も容認する自治体も悪くない。問題となるのは自治体により対応が異なる状況が国政選挙にもかかわらず存在していることだ。
認めなかった自治体は、法律的にみて対応は当然問題なく、厳密に居住実態を調べ、不在者投票の理由を確認し、断ったということだ。
”なんて杓子定規なんだ!”という気持も分からんでもないが、首長や選挙管理委員が”目をつぶって投票させてあげなよ”とでも方針を堕していない限り、電話に対応する職員は断るという判断しかできないだろう。

対して、容認した自治体は、居住実態がない事の確認をしないことにより、学生の投票の意思を尊重する事を優先したということだ。
後述するが時代にあった対応だと自分は感じているが、単に”隣の自治体より投票率が下がると色々と詰められるし”というぐらいの感覚で容認しているのかもしれない。

当然、現場の各職員や自治体の方針にそれぞれ違いがあるのだろう。法の運用に関しては現場で多少の差があることも当然だし、全自治体が何をどうやるかまで国が規定することはおかしいと思う。しかし、さすがに国政選挙で投票できるかできないかに自治体により差が生じることはだめだと思う。大きな参政権の1つである投票権が地元自治体により左右されるということは本末転倒である。

2:居住実態とはそもそも何なのか

もう一つ考えるべきは「居住実態」とは何なのかという点だ。
昭和29年に寮に入りつつも地元に住民票を置いたままの学生が不在者投票の権利を求めて裁判を起こし、最高裁まで行って敗訴している。
判決文の要旨には以下のように書かれている。
休暇に際してはその全期間またはその一部を郷里またはそれ以外の親戚の許に帰省するけれども、配偶者があるわけでもなく、また、管理すべき財産を持つているわけでもないので、従つて休暇以外は、しばしば実家に帰る必要もなく、またその事実もなく、
出典:最高裁昭和29年判例
この判決を根拠とし、居住実態が住民票を置いている自治体にないとし、不在者投票が断られる。
一方、国会開会中の平日の多くを選挙区を離れ東京で過ごす国会議員や、さらに1年間に数日しか地元に戻らない首相であっても不在者投票の権利はあるようだ。
首相が不在者投票 参院選、利用を呼びかけ  :日本経済新聞
配偶者がいればよいのか!?首相夫人もほとんど山口にはいないのだろうからこれも決定打にはならないだろう。
財産があれば居住実態と認めるのか!?
ふるさと納税により、自分が住んだ経験もなく、なんなら愛着もない自治体に寄付をすることにより、現在住民票をおいている自治体への納税額が減らせる時代だ。
居住実態をどう考えるかなど改めて見直してみてもよいのではないかと思う。

その他:成人式も住民票を移さない一つの要因

余談ではあるが前述の総務省調査によると、住民票を移していない理由の2位には「成人式に参加できなくなるなど不都合が生じると思ったから」とある。(17.6%)
多くの自治体では自治体内の成人対象に成人式の招待状を発送する。これが来ず、成人式に出られず、小中高の友達と一緒に記念行事を行えないことへの不安もあるようだ。もっとも多くの自治体では招待状がなくても出席可能なようだが、移さない気持ちもわかる。
ちなみに1位は「いずれ実家に戻るつもりだから29.0%」


法が先か人が先か

現状を放置することはよくない。だからといって法がそうだから、従うべきという発想になるべきではない。
法が現状にあっており、住民票を必ず移すべきであり、そうでない人は不在者投票ができないと解するとする。それであれば、”住民票を移すべきことの周知の徹底”と”不在者投票に対する自治体間の対応の差の是正”を進める必要がある。
それとも半数以上の親元を離れた大学生が住民票を移していない状況を尊重するのであれば、住民票と選挙人登録の違いをできるようにするべきだ。
そして、選挙を管轄する総務省としては基本的には現状の法による執行を優先する立場をとるのは当然であるので、この状況を変えるには立法府である議会が動くしかないのです。
個人的には国政選挙は住民票の位置に関係なくどこの投票所でも投票できるような制度の構築へと舵を切るべきだと思っている。