2016年7月9日土曜日

高校への出前授業で絶対につかわない2つの言葉。「投票はすぐできる」「一票で社会が変わる」

「投票に行こう」という言葉だけでは人を動かす力はない。


参院選投票日もいよいよ明日。初の18歳選挙権にあたって、10代を中心とした若者の投票行動に着目が集まっている。
そして、若者向けに呼び掛けたような記事や特集が大量に見受けられる。
確実な予測として明日投票日の各誌の社説にも、18歳選挙権に関連した内容が多く出るだろう。

自分は「若者と政治をつなぐ」をテーマに掲げたNPO法人YouthCreateの代表として活動している。
その自分からすると、当然10代を含めた若者の投票率は上がってほしい。
でも、「投票に行こう」という言葉だけでは人を動かす力はない。
この言葉を聞いたときに、納得感や義務感や自分事感などがついてくるから投票に行くんだと思う。


選挙以外の時に何をするか、考えるかが大事


自分は「結果として投票に行く」という流れを作れないかと思っている。
選挙の時に、「投票に行こう」という訴えをすることは本質ではない。
選挙以外の時の政治との関わりが、結果として選挙の時に投票にいく行動へつながる。あるいは、政治家・政党の公約を変えさせる力となる。

選挙以外の場での大きな変化が学校現場。
そんな、自分はこの1年間で、延べ40校ほどの中高にお邪魔をし、外部講師として出前授業をさせていただいている。
18歳選挙権になっての大きな変化が学校現場の変化。いわゆる主権者教育が大々的に始まってる。

「投票はすぐできる」「一票で社会が変わる」は使わない


その現場で自分は以下の2つの言葉は使わない。
「投票はすぐできる」「一票で社会が変わる」



投票はすぐに出来ちゃだめだと思う。

もちろん、投票環境の利便性を高め、身近に投票所を作るとか投票時間を考慮するなどの整備は必要。
ただ、投票先を決めるまでにかかる時間を考えると「すぐできる」ものでは決してない。
もちろん、何分以上悩むこと、あるいはどれだけの情報をもとに判断するのかが必要なのかはきめられない。
ただ、自分の思いなどを改めて考え、公約やニュース等を見比べたり、周りの人と話をしてみたりして、投票先を考えるための時間を取る必要がある。

「とりあえず行こう」じゃなくて「とりあえずちょっとは考えてから行こう」じゃないとだめ。
これは別に若者に限ったことではないと思う。いや、むしろ初選挙だったりする若者のほうがしっかりと考えて投票に行こうとしている。

「これまであの党にお世話になっているから」「あの人は〇〇の集会で出会ったから」
そんな理由で”考える”ことなく投票に行っている大人世代だっているんじゃないだろうか。

でも、繰り返しになるけど、「これだけのことを考えなければならない」ということは全くなく人それぞれ。
全部わかってなくていいと思う。というか全部のことをわかっている人なんて世の中いるんだろうか。
何かしら、悩む・考えるという行動はしなきゃいかんということ。
だから、「3分で終わる」選挙ってのは違うんだと思うし、そう伝えたらだめなんだと思う。

選挙の時の一人の一票なんてちょっとしたもんよ

自分の一票で社会が変わることはないんです。
よく政治家とか有識者とかが「○○の選挙では1票差で当落が決まって。。。。だから投票が大事なんだ!!}とかよく言ってるけど、そんなの結果論でしかないですよね。
あらかじめ一票差できまることが分かっていればそれは投票に行くかもしれないけど・・・

やっぱり一票の力は一票でしかないんですよ。1億人の有権者がいてその中の一票でしかない。
あなたの一票だけで社会が変わることはない。
もちろん、その一票の積み重ねで投票結果は変わり、だれが当選するかが変わる。
でも、投票だけじゃない。選挙の時以外だって政治にアプローチする方法はあるわけだ。

だからこそ、
・誰でも自分の自信をもって投票に行ってほしい!!
・同時に選挙以外の時にも政治への関心を持ち続けてほしい

そんな思いを込めて、「一票で社会が変わる」とは自分は言わない。


選挙は明日で終わりになりますが、一喜一憂することなく引き続き若者と政治つなぐために、色々と仕掛けていきます。
結果として選挙に行く人が増えるように。